ラジコン用語辞典
http://www.rcnavi.com/framepage2.htmによると、BECとは次のように解説しています。
・BEC(Battery Eliminator Circuitry)
「バッテリー除去回路」の略で、1つのバッテリーから互いに電圧仕様の異なる受信機やサーボモータ、電動モータ用アンプなどに電源を供給するための電源回路のこと。
通常、BECは受信機や電動モータ用アンプ内に内蔵されている場合が多い。
BEC内蔵のモータアンプを用いれば、動力モータ用のバッテリー1個から、受信機やサーボモータなど全ての電源をモータアンプが供給してくれる。
ラジコン分野ではBECと呼ばれていますが、電気回路で言うと[安定化電源回路]の一つです。
ニッカド・リチュームポリマー電池から、受信機サーボ用電源として4.8Vor5.0V(6V)の安定した電圧に変換します。
呼び名も色々あり、回路方式など分類方法によって違います。
電圧を変換しているので[ボルテージ・コンバータ]
電圧を調整しているので「ボルテージ・レギュレータ」
直流から直流に変換しているので[DC-DCコンバーター]
高い方の電圧から低い方に変換するので[降圧型]・[ドロップ・ダウン(減衰)型]とも言う。
入力から出力に電子の流れが繋がっているので[非絶縁型]
直線的に制御するので[リニア型]
スイッチング制御するので[スイッチング型]
また、安定化電源回路の違いもあります。
電源変換器(レギュレータ)と呼ばれます。
【リニアタイプ】
・シリーズ・レギュレータ
ESC内蔵のBECはほとんどこのタイプです。
最近デジタルBEC内蔵のESCも発売されましたね。
利点:ノイズの発生が無い(少ない)です。
欠点:入出力の電位差(電圧)をIC内部のトランジスタが熱に変換している為ロスが多い
・シャント・レギュレータ
関係ないので、解説しません。
【スイッチングタイプ】
・ラジコンでは、デジタルBECと呼ばれています。
S-BECやD-BECまたP-BECなどの製品です。
利点:軽量小型化出来る。リニアより効率が良く発熱が少ない。
欠点:ノイズが発生する。
リニアとスイッチングの動作の違いは下記HP参照下さい。
趣味の電子回工作
http://www.hobby-elec.org/menu.htm┗ 電子回路工作素材集
┗スイッチング・レギュレータ(1)
http://www.hobby-elec.org/ckt22.htm ┗回路説明
http://www.hobby-elec.org/ckt22_2.htmさて、自分のはどうなっている?と言うのが皆さん気になる事だと思います。
結論から言えば、試す(測定)しか無いです。。。(^^ゞ
◎BEC性能評価についての考察
いろんなサイトで議論がありますが、自分なりに考えていることを述べてみます。
幾ら電流が流せるかについては、リニア・スイッチングを問わず、ICの定格および回路設計(使っている部品の定格)により決まってしまいます。
ですからICデータシートの確認は必須と思います。
BECについて、ここに詳しい説明があります。
http://www.qrp-rc.com/main02.html/BEC.html一般の電子回路設計に比べると、ラジコンでは非常に過酷な使い方をしています。
メーカーの公表している性能(5V-3A)と言うのは、ほとんどがIC素子の最大定格値です。
小型軽量化の為に放熱対策はほとんど無視した設計になってますから連続的に流せる電流はかなり減少します。
電子回路において放熱設計はかなり重要です。
以前分解した「ALIGNのESC REC-BL25T」にはKEC社のKIA78D05F ロードロップアウト5V-1Aが2個並列で使用されています。
これを検証してみます。
KIA78D05F
http://www.kec.co.kr/productinfo/product_catalog/product_catalog_list_detail.asp?key1=E&key2=110&item_s1=KIA78D05F&sql_type=&list_mode=&srch_page=1&condition=&keyword=78D05Fこのページより「DATASEAT」をダウンロードして下さい。
規格は、

だふくさんの知りたい「PB:BECワット数」とは下記の項目です。
MAXIMUM RATINGS (Ta=25℃)とありますので周囲温度25℃の時の最大値です。
Power Dissipation Pd 1.3 W No heatsink
電力損失 PD 1.3W 放熱器無し
ICを2個パラ(並列)にしているのでPD=2.6Wとなります。
データシートの中で重要なのは5/6ページのFig.3 PD - Taグラフです。
多分これだけ見てもさっぱり分からない?と思うので解説します。

縦軸がPOWER DISSIPATION(電力損失)横軸がAMBIENT TEMPERATURE(周囲温度)です。
上の線が無限大放熱器を付けた場合で、下の線が放熱器無しの場合です。
THERMAL RESISTANCE(熱抵抗)
J-C=9.62℃/W INFINITE HEAT SINK(無限大のヒートシンク)の場合
J-A=96.2℃/W IC ALONE(ICのみ)の場合
放熱器が無ければ極端に許容電力損失が少なくなるのが分かると思います。
規格表のPower Dissipation Pd 1.3 W No heatsink(電力損失 PD 1.3W 放熱器無し)と言うのも
読み取れますし、周囲温度が25℃を超えるとPOWER DISSIPATION(電力損失)が下がるのも分かりますね。
もう一つ重要なのが、Fig.6 Tj - VDのグラフです。
これは、ICの接合温度Tj(IC内部のチップ温度)が上昇すると出力電圧降下も大きくなると言うグラフです。
IO=1Aとは出力に1A流した場合です。
参考までに。。。
データ・ブック(データ・シート)の用語集
http://www.tij.co.jp/jsc/docs/sll/achp/linear_spec/spcs_REG.htm#SERI以上の説明でデータシートの見方を、ご理解頂けたでしょうか?(^^ゞ
・使用する電池の電圧(セル数)によって流せる電流は変化する。
これはICの許容動作温度が決まっているのでそれによる制限です。
入力電圧と出力電圧の差が大きくなれば電力損失も大きくなる為ですね。
・サーボの動作電流の計測値
3D飛行中のサーボには、許容トルク負荷の何倍もの負荷が瞬間的に掛かっている物と推測しています。
そのため、消費電流の測定にはサーボにトルク負荷をかけた状態で測定しないと意味がありません。
連続でサーボの過負荷は掛からないので、平均値で間に合えばBEC容量的には十分と考える向きもありますが。。。
自分的には?です。
平均値では意味が無いというか、どうやって平均値を出すんでしょう?
最大値が重要と考えます、つまり電圧降下です。
ピーク電流を流してなおかつ電圧降下が起きないようなBEC容量が必要と考えています。
なので、これも比較テストのため購入しました。(^^ゞ